肩を回すとゴリゴリ鳴る原因は?肩関節の構造と音の正体をカイロ先生が解説

はじめに
「肩を回すと、ゴリゴリと音が鳴るんですけど…」
そんな声を耳にしたことはありませんか?
実はこの“音”、肩の関節構造や体の使い方と深く関係しています。
この記事では、肩関節の構造やメカニズムをカイロプラクターの視点でわかりやすく解説し、「音が鳴るのはなぜ?」という疑問にお答えします。
肩関節は“自由すぎる”関節!?
肩関節(正確には肩甲上腕関節)は、体の中で最も可動域が広い関節です。腕を前後・上下・回旋など、あらゆる方向に動かせるのはこの構造のおかげですが、その分安定性にはやや欠ける作りになっています。
■ 肩の構造をざっくり整理すると:
上腕骨(腕の骨) と 肩甲骨の関節窩 によって形成 「ボールとお皿」のような形(=浅い受け皿に丸い骨が乗っている) 安定性は、周囲の筋肉・靭帯・腱(とくにローテーターカフ)が支えている このように、関節自体が浅く不安定な分、筋肉や腱が大きな役割を果たしているのが肩の特徴です。
ゴリゴリ音の原因は何?
肩を回したときに感じる「ゴリゴリ」「ミシミシ」「ポキポキ」といった音は、大きく分けて以下の3つが主な原因です。
① 摩擦音(腱・筋膜・骨が擦れる音)
筋肉や腱が骨とこすれ合うときに、関節の中や周囲で摩擦音が生じることがあります。 特に肩甲骨の動きが悪くなると、腱が骨に引っかかりやすくなり、「ゴリッ」とした音や感覚が出やすくなります。
② 筋肉や筋膜の硬さによる引っかかり
長時間のデスクワークや姿勢不良によって、筋肉や筋膜が硬くなると、肩の動きの中で“引っかかり”や抵抗が起こります。これが摩擦音や不快な感覚となって現れることがあります。
③ 関節内の「キャビテーション音」
関節を動かしたときに「ポキッ」と音がする現象。これは関節内の圧力が変化し、関節液中の気泡が弾けることで起こる音で、いわゆる「指を鳴らす」のと同じ原理。 この場合、痛みや違和感がなければ特に心配はありません。
危険な音とそうでない音の見分け方
ゴリゴリ音=すべて危険というわけではありません。 以下のチェックポイントで、“注意かどうか”を見分けてみましょう。
危険な音とそうでない音の見分け方
チェックポイント | 問題なしの音 | 注意が必要な音 |
---|---|---|
音の種類 | 軽いポキッ、時々ゴリ | 毎回ゴリゴリ、ミシミシ |
動作の感覚 | スムーズに動かせる | 引っかかり・抵抗感がある |
痛みの有無 | なし | 音と同時に痛み・しびれがある |
可動域 | 普通に動かせる | 動きが制限されている |
痛みがある・可動域が狭い・頻繁に鳴るという場合は、腱板損傷や関節唇の問題など、構造的な障害の可能性もあるため、専門家のチェックをおすすめします。
放っておくとどうなる?
音が鳴るだけで痛みがなければ、すぐに重大なトラブルになることは少ないですが、肩周囲の柔軟性や姿勢バランスの崩れが原因であれば、徐々に負担が蓄積されていく可能性があります。
例えば、
肩こり・首こりの慢性化
四十肩・五十肩の予備軍に
背中や肋骨、肩甲骨周辺の動きの低下
など、「音」そのものより、その背景にある体の硬さやクセを放置するリスクが高いのです。
まとめ:肩のゴリゴリ音は、体からのサインかも
肩関節は自由に動く代わりに、不安定な構造をしている ゴリゴリ音の多くは、筋肉・腱・骨の擦れによって生じる 痛みや動きの制限がある音は、放置しないことが大切 日常の動き・姿勢・ストレッチで予防・改善が可能
次回予告:週末は“肩ゴリゴリ”解消ストレッチ!
この「肩のゴリゴリ音」のメカニズムをふまえて、 週末の【カイロ先生のストレッチなび】では、肩甲骨や胸郭をゆるめ、ゴリゴリ音を軽減するストレッチ法を紹介します。 日々のセルフケアで、スムーズな肩の動きを取り戻しましょう!
【カイロ先生の体なび】は、毎週火曜に「体のしくみ・メカニズム」視点から、
土曜には「自宅でできるセルフケア・ストレッチ」をご紹介しています。
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