【カイロ先生の体なび】vol.16
車に乗っていると尾骨あたりが痛いのはなぜ?
はじめに
「車に長く乗っていると、お尻の奥の尾骨(びこつ)あたりが痛くなる…」
最近そんな声をよく耳にします。とくに長距離ドライブや、毎日の通勤で車を使う方に多いお悩みです。
尾骨は“座るときの支点”になりやすい
尾骨は背骨の一番下にある小さな骨で、本来はお尻の筋肉や脂肪に守られています。
しかし、骨盤が後ろへ傾いたまま座ると「坐骨」ではなく「尾骨」に体重が集中しやすくなります。
これが尾骨痛の大きな原因です。
どんなシート設定が痛みを招きやすい?
患者さんのお話を聞くと、次のようなシート調整をしている方に尾骨痛が出やすい傾向があります。
- シートを深く倒してリラックス姿勢で運転
- 骨盤が後傾し、尾骨が座面に直接圧迫されます。
- 座面が低く、膝が上がった状態
- 腰が丸まり、骨盤の支えが失われます。
- 座面に浅く腰かける
- 骨盤が立たず、尾骨でバランスを取るような座り方になります。
カイロプラクティック的な見解
尾骨痛が出る背景には「骨盤のアライメント不良」が関係しているケースが多くあります。
- 骨盤が後傾しやすい
- 仙骨と尾骨の連動がスムーズでない
- 腰椎(特にL4〜L5)の前弯が消失している
こうした状態だと、ちょっとした座り方の乱れでも尾骨にストレスが集中します。
また、腰椎〜骨盤の可動性が低下すると、シートに合わせて骨盤を調整する柔軟性がなくなり、長時間運転で痛みが出やすくなるのです。
シートはどう調整すればいい?
尾骨への負担を減らすために、次のような工夫がおすすめです。
- 座面をやや高めに調整
- 膝より骨盤が少し高い位置になると、骨盤が立ちやすくなります。
- 背もたれは約100〜110度に
- 真っ直ぐすぎず、寝かせすぎず、腰の前弯を軽く保てる角度が理想です。
- 座面の奥にしっかり腰かける
- 坐骨で座る意識を持つと、尾骨の圧迫を避けられます。
- クッションを活用する
- 骨盤を支えるランバーサポートや、尾骨に直接圧がかからないドーナツクッションが効果的です。
まとめ
車に乗って尾骨が痛いのは、シートの問題だけでなく「骨盤や腰椎のアライメント」が深く関係しています。
シート調整とあわせて、骨盤を立てる意識や、お尻まわりの柔軟性を保つことが大切です。
次回の【カイロ先生のストレッチなび】では、尾骨周辺の負担を和らげる「骨盤・お尻ストレッチ」をご紹介します。
【カイロ先生の体なび】は、毎週火曜に「体のしくみ・メカニズム」視点から、
土曜には「自宅でできるセルフケア・ストレッチ」をご紹介しています。