首の骨棘による圧迫を軽くする ― 神経スペースを広げるための週末ケア
はじめに
火曜のコラムでは、「骨棘そのものより、首の骨の角度(アライメント)と周囲の硬さが症状を左右する」という話をしました。
今回は、骨棘が神経に“触れやすい姿勢”を改善し、
神経の通り道のスペースを確保するためのストレッチとセルフケア
を紹介します。
首そのものを強く伸ばすのではなく、
首を取り巻く環境を整えることが最大のポイントです。
ストレッチ①:胸椎伸展ストレッチ(フォームローラー or タオル)
目的:首の根元(C5〜T1)への圧力を軽減し、骨棘に触れやすい前傾首の角度を改善
【このストレッチで期待できる効果】
猫背・巻き肩の改善
首の前側の圧迫軽減(ストレートネック対策の補助)
肩・背中の張りの解消
呼吸が深くなる(胸郭の可動性アップ)
猫背や首の負担を減らしたい方におすすめの、胸椎(背中の上部)をしっかり反らせるストレッチです。
フォームローラーがある方はローラーで、無い方はタオル3本で代用できます。
【準備】フォームローラー or タオル3本
フォームローラーあり → そのまま使用
フォームローラーなし → バスタオルを3本重ねて、しっかり太め(直径10〜12cm)に丸める
- 方法:
- 床に仰向けになる
- 胸椎6〜8番(肩甲骨の少し下)あたり に、背骨に対して垂直(背骨を横切る向き) にローラー/タオルを置く
※イメージ:ローラーが “体を横断している” 形 - 両手を軽く頭の後ろに添えて、首をサポート
- ゆっくり胸を開きながら、後ろへ倒れていく ※腰ではなく「胸」で反る意識が大切
- 痛みのない範囲で 10〜20秒キープ
- ローラー/タオルを少し上下に移動させ、数カ所で行うとさらに効果的
ポイント:
頭が床まで落ちなくても大丈夫、無理に反らせない
腰が過剰に反りやすい人は、お腹に軽く力を入れて腰を守る
呼吸は止めず、胸がじわっと開く感覚を意識
首肩のコリや張りを感じやすい人ほど、この胸椎の動きが重要
ストレッチ②:肩甲骨の下制ストレッチ(首の付け根の緊張を軽減)
目的:上部僧帽筋・肩甲挙筋の過緊張を抑えて首の圧迫感を減らす
- 方法:
- 右手で座面をつかむ
- 左手で頭を軽く左下へ
- 反対側の肩を下へ引き伸ばすイメージ
- 20秒 × 各2回
ポイント:
これにより、首の付け根の詰まり感、肩こり由来の神経症状が軽減しやすくなります。
ストレッチ③:胸郭前面ストレッチ(巻き肩を開いて神経の出口を広げる)
目的:胸が丸まることで首が過前傾になり、骨棘が当たりやすい角度が生まれるのを防ぐ
- 方法:
- ドア枠に手を置く
- 一歩前に踏み出し胸をゆっくり開く
- 息を吐きながら15〜20秒
- 2回〜3回
ポイント:
胸郭が開くと、頭を無理に前に突き出さなくてもよい姿勢が作れます。
ストレッチ④:前頚筋のトレーニング(首の土台を作る“アゴ引き”)
目的:骨棘が神経に触れやすい角度を根本から改善する
実は、骨棘による痛みの人は 深層で働くべき“前頚筋”が弱い ことが多いです。
この筋肉が働くと、首の配列が整いやすくなります。
- 方法:
- 仰向けに寝る
- アゴを軽く引くようにして、喉の奥だけをそっと縮める
- 首の前側(奥)がじわ〜っと働く感覚
- 5秒×10回
ポイント:
強い力は不要です。
“弱いけど持続する力”を入れるのがポイント。
ストレッチ⑤:神経スライド(神経の滑走を良くして圧迫のストレスを軽減)
目的:神経の通り道の動きを良くし、軽いしびれの改善を補助
※痛み・しびれを悪化させない範囲で行いましょう。
- 方法(軽度症状向け):
- 伸ばしたい側の手を横にまっすぐ伸ばす
- 手のひらを上に向ける
- 首を反対側へ軽く倒す
- 5秒 × 8〜10回のリズミカルな動き
ポイント:
首を倒すときと手を伸ばす動きを“逆方向”にするのがポイントです。
まとめ
骨棘を“直接なくす”ことはできませんが、
・首の角度
・胸郭の硬さ
・肩甲骨の位置
・神経の滑走
こうした周囲環境を整えることで、症状は大きく改善します。
特に今回は「首だけを動かさない」ことが重要。
胸郭・肩甲骨・前頚筋をケアすることで、
結果として神経のスペースを広げ、骨棘の影響を最小限にできます。
【カイロ先生の体なび】は、毎週火曜に「体のしくみ・メカニズム」視点から、
土曜には「自宅でできるセルフケア・ストレッチ」をご紹介しています。
