【カイロ先生の体なび】vol.32
産後の体はどう変わる?ホルモンと骨盤の「回復スケジュール」を解説
はじめに
出産を終えたあと、
- 腰が痛い
- 恥骨や股関節が違和感ある
- 体型が戻らない
- 疲れやすい
実は産後の体は、「出産が終わった=元に戻った」状態ではなく、大きなダメージを受けた直後の回復途中にあります。
今回は、産後の体の中で何が起きているのかを、ホルモンと骨盤の変化を中心に分かりやすく解説します。
産後の体は「交通事故の後」と同じくらい不安定
出産は、骨盤が最大限に開き、筋肉・靭帯・内臓に強い負荷がかかる大仕事です。
表面上は元気そうに見えても、
- 骨盤周囲の靭帯は伸びきった状態
- 体幹の筋肉は弱化
- 内臓はまだ正しい位置に戻りきっていない
つまり産後の体は、治療と安静が必要な「回復期」にあります。
カギを握るのは「ホルモンの急変」
産後の不調を語るうえで欠かせないのがホルモンの変化です。
リラキシン
妊娠中に分泌されるホルモンで、骨盤の靭帯を緩め、出産をしやすくします。産後もしばらく体内に残るため、関節や骨盤が不安定な状態が続きます。
エストロゲン・プロゲステロン
女性ホルモンは出産直後に急激に低下します。 これにより、- 自律神経の乱れ
- 疲労感
- 気分の落ち込み
- 筋肉や靭帯の回復力低下
プロラクチン
授乳期に分泌が増えるホルモンで、母乳の分泌を維持する働きがあります。一方で、
- エストロゲンの回復を抑える
- 睡眠リズムを乱しやすい
- 疲労感が抜けにくい
授乳中に骨盤や関節の安定が遅れやすいのは、このプロラクチンの影響も関係しています。
産後の体の回復スケジュール
産後の回復は、時間経過だけでなく、複数のホルモン変動と連動して段階的に進みます。
回復スケジュール(目安)
| 時期 | 体の状態 | 関与する主なホルモン |
|---|---|---|
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産後ホルモン変動のイメージ
青野敏博:新女性医学大系 第32巻(総集/田雄二)P28中山店2001(図10)より作成
| ホルモン | 推 移 |
|---|---|
| リラキシン | 妊娠後期ピーク → 産後ゆっくり下降 |
| エストロゲン | 出産直後に急降下 → 授乳中は低値 → 授乳終了後に回復 |
| プロゲステロン | 出産直後に急降下 |
※特にリラキシンが残っている期間は、骨盤や関節が不安定な状態が続くため、「歪みやすい」「戻りやすい」体になります。
産後に多いトラブルの正体
- 腰痛 → 骨盤不安定+体幹筋低下
- 恥骨痛 → 靭帯の緩み
- 尿もれ → 骨盤底筋の弱化
- 肩こり → 授乳姿勢+自律神経の乱れ
よくある質問:不安定な時期に施術を受ける意味はありますか?
患者さんから次のような質問をよく受けます。
Q
ホルモンの影響で骨盤が不安定なら、安定してから来た方がいいですか?
A
完全に安定するまで何もしないより、時期に合わせたケアを早めに始めた方が回復はスムーズです。
なぜかというと…
産後初期は確かに、
- 施術しても戻りやすい
- 歪みが出やすい
- 骨盤の位置がまだ固まっていない
- 悪いクセが定着していない
「安定しない=意味がない」ではありません
産後初期の施術の目的は、
- 完璧に固定すること
- ではなく、
- 大きなズレを防ぐ
- 負担の少ない位置に戻す
- 回復を妨げるストレスを減らす
- ことにあります。
- 抱っこ
- 授乳姿勢
- 睡眠不足
- 片側重心
理想的な来院タイミングの目安
- 産後1か月~3か月
- → 状態管理・やさしい調整中心
- 産後3~6か月以降
- → 安定性が高まり矯正効果も持続しやすい
早期:崩れない土台作り
回復期:本格的な安定化
という役割分担になります。
まとめ:
産後の体は、
- ホルモンの急変
- 骨盤の不安定
- 筋力低下
不安定な時期でも、状態に合わせたケアを行うことで、
- 慢性腰痛
- 体型の崩れ
- 将来の不調
次回の土曜日は、産後1か月以降から安全に行えるセルフストレッチをご紹介します。
【カイロ先生の体なび】は、毎週火曜に「体のしくみ・メカニズム」視点から、
土曜には「自宅でできるセルフケア・ストレッチ」をご紹介しています。
