AISストレッチ導入編|僧帽筋ストレッチ
はじめに:主動筋と拮抗筋とは?
私たちが腕や足を動かすとき、筋肉が関節を動かす力になっています。
このとき、実際に力を発揮して動かしている筋肉を「主動筋(しゅどうきん)」といいます。
例えば、肘を曲げるときに力こぶ(上腕二頭筋)を使いますが、この力こぶが主動筋です。
しかし、筋肉は縮むことしかできないため、反対側にある筋肉がちゃんと伸びてくれないと、関節は動かせません。
この反対側にあって、主動筋が働いたときに自然と伸びる筋肉のことを「拮抗筋(きっこうきん)」といいます。
関節を無理に動かすと、骨と骨がぶつかってしまい、関節を傷めたりすり減らしてしまうことも。
そうならないように、私たちの体は主動筋が働くと、無意識のうちに拮抗筋をゆるめて伸ばしてくれる仕組みになっているのです。
つまり、関節の動きは「縮む筋(主動筋)と、伸びる筋(拮抗筋)」のチームプレイでスムーズに行われています。
AISストレッチとは?
AIS(Active Isolated Stretching)は、拮抗筋を使って対象筋を自然に伸ばす短時間反復型のストレッチ方法です。 筋肉の神経制御(収縮と弛緩)を利用し、パフォーマンスや姿勢改善に効果的です。
※詳しくは前回の記事をご覧ください → こちら
主動筋と拮抗筋の対応表
関節動作 | 主動筋 | 拮抗筋(伸ばす) |
---|---|---|
肘を曲げる | 上腕二頭筋 | 上腕三頭筋 |
股関節を後ろに伸ばす | 大臀筋 | 腸腰筋・大腿直筋 |
股関節を曲げる | 腸腰筋・大腿直筋 | ハムストリング |
肩関節を外から上げる | 三角筋中部 | 広背筋・大胸筋 |
肩をすくめる | 僧帽筋上部・肩甲挙筋 | 僧帽筋下部・広背筋 |
まずは、いつものストレッチ:静的ストレッチ・スタティックストレッチ(僧帽筋)
デスクワークなどでこりやすい「僧帽筋上部」をゆったり伸ばす方法です。
- 椅子にまっすぐ座る
- 右手をお尻の下に軽く挟む(椅子の座面を掴んでもいいです)
- 左手を頭に添えて、左に45度顔を向ける。顔の向きにゆっくり倒す(顎を引くイメージ)
- 僧帽筋だけでなく肩甲挙筋にも効く
- その状態で15〜30秒キープ
- ゆっくり戻して反対も行う
- これを3セットずつ行う
💡 コツ:肩が持ち上がらないよう固定するのが重要。痛みのない範囲で行いましょう。
AISストレッチにチャレンジ:AISストレッチで僧帽筋を動的に伸ばす
今度は拮抗筋(僧帽筋下部や広背筋)を使って、能動的に僧帽筋上部をストレッチします。
- 背筋を伸ばして立つ or 座る
- 肩を一度上げてから、意識して下げる
- 肩を下げた状態で2秒キープ
- 力を抜いてリセット
- 8〜10回繰り返す
💡 コツ:肩を引き下げる時に意識するのは背中の筋肉!
【広背筋・前据筋・下部僧帽筋あたりを意識してやるとより効果的!!】
🔁 慣れたら頭を軽く傾けながら行うと、より効果的です。
🧠 比較とまとめ
種類 | 方法 | メリット | おすすめシーン |
---|---|---|---|
静的ストレッチ | 30秒の静的保持 | リラックス、就寝前にも◎ | 隙間時間・寝る前 |
AIS | 2秒×反復で動的ストレッチ | 可動域向上・筋制御向上 | トレ前後、短時間でも可 |
💡 ポイント:AISストレッチは夜やるなら寝る前ではなくお風呂でささっと!
おわりに
今後は股関節や体幹部、肩甲骨周りなど、他の部位へのAISの応用も紹介していきます。 あなたの身体に合ったストレッチを見つけて、より快適な毎日を手に入れましょう!