産後ケアは“今がチャンス”!〜ホルモン・骨盤・骨盤底筋を知って、自分の体を取り戻す〜
■ はじめに
出産後、「なんとなく体のバランスが変わった」「腰や股関節がグラグラする」「くしゃみで尿が…」といった違和感を覚えるママは少なくありません。 でもそれ、気のせいではありません。妊娠・出産を経て、女性の体にはホルモンの大きな変動が起こり、同時に骨盤の構造や筋肉にも影響が及んでいます。 このコラムでは、産後の体に何が起きているのか? そしてそれをカイロプラクティックと骨盤底筋トレーニングでどう整えていけるのか?を解説していきます。

妊娠・出産で変わる体
妊娠・出産は、女性にとって命がけのプロセス。その間、体は驚くほどの変化を遂げています。特に以下のホルモンが重要です:
◉ リラキシン
骨盤や関節を緩めて出産を助けるホルモン。産後も6〜8週間ほど分泌され、骨盤の不安定さの原因に。
◉ エストロゲン・プロゲステロン
妊娠中に高まっていたこれらのホルモンは、出産後に一気に減少。自律神経や情緒の乱れ、いわゆる「産後うつ」などにも関与。
◉ オキシトシン・プロラクチン
授乳を助け、心を落ち着かせる作用も。ただし、体のストレスや睡眠不足で効果が出にくくなることも。
骨盤が不安定な「産後期」
産後6〜8週間は「産褥期」と呼ばれ、子宮の回復とともに、骨盤周囲の靭帯や筋肉も戻ろうとします。しかしこの時期はまだリラキシンの影響で骨盤がゆるく、関節の位置が不安定。 加えて、抱っこ・授乳・オムツ替えなどの育児動作で姿勢が崩れがちに。こうした要素が、腰痛・股関節痛・恥骨痛・肩こりといった不調の原因になります。
カイロ先生からのひとこと:
リラキシンは産後徐々に分泌量が減っていきますが、分泌されている間は骨盤が不安定になりやすいです。カイロプラクティックケアを受けても骨盤が安定しづらいのはそのためです。 骨盤ベルトなどを使用すると靭帯の代わりに骨盤を安定させることができ、出血などが落ち着いた2~3週間後から治療が可能になります。
骨盤底筋もダメージを受けている
骨盤の底を支える「骨盤底筋」は、出産時に強く引き伸ばされるためダメージを受けやすく、機能が低下します。その結果:
- 咳やくしゃみで尿がもれる
- 骨盤が安定せず、歩行時にふらつく
- 内臓下垂・ぽっこりお腹
- 腰痛・背部痛の慢性化
いつからケアを始めればいいの?
▶ カイロプラクティック:産後1ヶ月〜6ヶ月がベスト
※骨盤ベルトを使用するなら2,3週後から治療が可能
- 出血が治まり、体力が少し戻ったらスタートOK
- 骨盤が整うことで、授乳や育児の姿勢が楽になる
- 神経系への調整で、自律神経やホルモンの乱れにもアプローチ
▶ 骨盤底筋トレーニング:できるだけ早く、でも無理なく
- 産後1週目:呼吸に合わせた軽い意識トレーニング
- 産後6〜8週目以降:本格的なトレーニング開始
- 時間が経ってしまった方も、今から始めても遅くありません!
帝王切開・カイザーで出産された場合、産後1ヶ月前後傷口が癒えた頃(お腹に力を入れても痛みが出ない頃)を目安にお越しいただくと良いかと思います。
骨盤×骨盤底筋の連携がカギ
実は、骨盤が歪んだままだと、骨盤底筋もうまく働けません。 骨盤という“土台”をカイロプラクティックで整えることで、骨盤底筋のトレーニング効果が高まります。逆に、筋トレだけではズレたままの骨盤が邪魔をすることもあります。
■ まとめ
出産はゴールではなく、体づくりの再スタート。
ホルモン、骨盤、筋肉――3つの要素を正しく理解し、「知って整える」ことが産後ケアの第一歩です。
カイロプラクティックで骨盤をリセットし、骨盤底筋トレーニングで内側から支える。あなたの体は、もっと楽に、もっとしなやかになります。
【カイロ先生の体なび】は、毎週火曜に「体のしくみ・メカニズム」視点から、
土曜には「自宅でできるセルフケア・ストレッチ」をご紹介しています。
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